機能性表示食品とトクホの違い——ラベルの見方

「トクホ」「機能性表示食品」「栄養機能食品」。買い物かごに入れる前に、パッケージのこの文字を見比べて、何が違うのだろうと思ったことはないでしょうか。どれも似た顔をしていて、結局「体によさそう」でひとくくりにしてしまいがちです。今回は消費者庁の説明にそって、この三つを整理してみます。
三つはまとめて「保健機能食品」と呼ばれる
消費者庁は、この三つをまとめて保健機能食品と呼んでいます。定義は「国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って食品の機能が表示されている食品」です。
言いかえると、パッケージに体への働きを書いてよい食品には、国が決めた枠組みがあるということです。この三つのどれにも当てはまらない食品は、そうした表示ができません。
では三つは何が違うのか。消費者庁の整理を表にすると、こうなります。
| 国の審査 | 手続き | |
|---|---|---|
| 特定保健用食品(トクホ) | あり | 国による個別許可 |
| 栄養機能食品 | なし | 届出不要(基準に適合すれば表示できる) |
| 機能性表示食品 | なし | 事業者の責任で消費者庁に届出 |
違いは、ひとことでいえば**「誰が、どこまで確かめたのか」**です。順に見ていきます。
トクホ——国が一つひとつ許可している
正式には特定保健用食品といいます。消費者庁の説明では、「からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示をする食品」とされています。
いちばんの特徴は、製品ごとに国の個別許可を受けている点です。三つの中で、国の審査を経ているのはトクホだけです。許可されたものには、おなじみのマーク(人が両手を上げたような図案)と「特定保健用食品」の文字が入ります。パッケージに書ける内容も、許可された範囲に限られます。
栄養機能食品——決められた成分を、決められた文で
栄養機能食品は、「特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示する食品」です。
こちらは国の審査も届出も要りません。そのかわり、対象成分と書いてよい文章があらかじめ決まっています。東京都の解説資料によれば、対象は次の範囲です。
- ビタミン13種類(ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA・B1・B2・B6・B12・C・D・E・K、葉酸)
- ミネラル6種類(亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム)
- n-3系脂肪酸
含有量が国の定めた上限・下限の範囲に収まっていれば、決まった言い回しで栄養成分の機能を書けます。文章は成分ごとに定型で、変更や省略は認められていません。
そして、次の注意文をつけることが決められています。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。
「たくさん飲めばいいものではない」と、制度そのものが最初に断っている、というわけです。
機能性表示食品——事業者の責任で届け出る
三つの中でいちばん新しく、いちばん数が多いのが機能性表示食品です。消費者庁の説明では、「事業者の責任において、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的が期待できる旨を科学的根拠に基づき表示した食品」とされています。
ポイントは、国が審査をしているわけではないという点です。事業者が科学的根拠をそろえて消費者庁に届け出る仕組みで、その届出内容は消費者庁のウェブサイトで公開されています。消費者庁自身も、公表された届出内容を超えた広告を鵜呑みにしないよう注意を促しています。
2024年からの制度の見直し
この制度は近年、見直しが進んでいます。消費者庁の資料(令和6年8月)によれば、主な変更点は次のとおりです。
- 令和6年9月1日から:健康被害情報の報告が義務化。医師が製品との関連を疑って診断した情報を集め、発生・拡大のおそれがあれば速やかに自治体へ提供することとされました
- 令和6年9月1日から(一部は令和7年4月1日):「機能性表示食品」の文字を枠で囲んで容器の主要面の上部に表示。あわせて「本品は、特定保健用食品と異なり、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません」という趣旨の文言を明記
- 令和8年9月1日から:天然抽出物などを原料とする錠剤・カプセル形状の食品に、GMP(適正製造規範)に基づく製造管理が届出者の遵守事項として加わります
パッケージに「国の評価を受けたものではない」と書いてあると、少し身構えてしまうかもしれません。けれどこれは、制度が正直に線を引いているしるしと受け取るのがよいと思います。
「いわゆる健康食品」との距離
三つのどれにも当てはまらない、いわゆる健康食品も店頭にはたくさんあります。これらは体への働きを表示できない、ふつうの食品の扱いになります。
医薬品との違いについては、消費者庁の資料に分かりやすい説明があります。医薬品はすべてGMPに基づいて一定の品質を確保して製造されているのに対し、多くの健康食品はそうではないこと。表示されている成分が製品中にはごくわずかしか入っていない場合があること。そして、医薬品には副作用の公的な救済制度があるのに対し、健康食品にはないこと。
サプリメントは医薬品ではなく食品です。疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。この前提を手元に置いておくことが、いちばんの備えになります。
買い物のとき、ラベルのどこを見るか
覚えることを三つに絞るなら、これで足ります。
- 枠で囲まれた表示の文字を探す——「特定保健用食品」「機能性表示食品」「栄養機能食品(○○)」のどれか。どれもなければ、体への働きは表示できない食品です
- 国の審査があるのはトクホだけと思い出す——ほかの二つが劣るのではなく、確かめた人が違うということです
- 気になったら届出情報を見る——機能性表示食品なら、消費者庁のウェブサイトで確認できます
反対に、あてにしないほうがよいのは、いちばん目立つところに大きく書かれた宣伝文句です。制度で決められた表示は、たいてい控えめな場所に小さく書かれています。
成分そのものの調べ方については、プラズマローゲンとは?体内に広く存在するリン脂質を調べてみたもあわせてどうぞ。
まとめ
- トクホ・栄養機能食品・機能性表示食品の三つをまとめて「保健機能食品」と呼ぶ
- 国の個別許可を受けているのはトクホだけ
- 栄養機能食品は、対象成分(ビタミン13種・ミネラル6種・n-3系脂肪酸)と文言が決まっている
- 機能性表示食品は事業者の届出制。届出内容は消費者庁のサイトで確認できる
- サプリメントは医薬品ではないという前提を、いつも手元に置いておく
言葉の意味が分かると、売り場の見え方が変わります。急いで決めず、ラベルの小さい文字を一度読んでみる。それも冴えた消費者でいるための習慣です。
参考
- 消費者庁「保健機能食品について」「栄養や保健機能に関する表示制度とは」「健康食品と医薬品の違い」
- 消費者庁食品表示課「機能性表示食品の今後について」(令和6年8月)
- 東京都保健医療局「食品表示法(保健事項)について」
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※サプリメントは医薬品ではありません。体調に不安がある方、通院・服薬中の方は、利用前に医師・薬剤師にご相談ください。