ラジオ体操を見直す——3分の全身運動という選択肢

子どものころ、夏休みの朝に公園でやったラジオ体操。あの音楽を思い出せる方は多いと思います。大人になってからは、すっかりご無沙汰という方がほとんどではないでしょうか。ところが最近、国が示す運動の指針の中でも、ラジオ体操が名前を挙げられています。今日は、この身近な体操をもう一度眺めてみます。
ラジオ体操第一は「13の運動」でできている
ラジオ体操第一は、13の動きで構成されています。かんぽ生命の解説によると、順番は次のとおりです。
- 伸びの運動
- 腕を振って脚を曲げ伸ばす運動
- 腕を回す運動
- 胸を反らす運動
- 体を横に曲げる運動
- 体を前後に曲げる運動
- 体をねじる運動
- 腕を上下に伸ばす運動
- 体を斜め下に曲げ胸を反らす運動
- 体を回す運動
- 両脚で跳ぶ運動
- 腕を振って脚を曲げ伸ばす運動
- 深呼吸
並べてみると、腕・肩・胸・体側・背中・腰・脚と、体をひととおり動かす順番になっているのが分かります。かんぽ生命はこれを「たった3分の全身運動」と紹介しています。
なお、ラジオ体操第一は老若男女を問わず取り組みやすいことに重点が置かれた体操で、運動強度はそこまで強いものではないと説明されています。一方、第二は職場の青・壮年層向けで、第一より強め。さらに、年齢や障がいの有無を問わず、狭い場所でもできる「みんなの体操」(8つの運動)もあります。自分に合うものを選べる、というわけです。
3分という長さの意味
3分は、テレビの前でも、洗濯物を干す前でも、なんとか差し込める長さです。運動が続かない理由はさまざまですが、3分なら面倒だと感じる前に終わります。続けやすさは、それ自体が大きな価値です。
国のガイドが挙げる「多要素な運動」の一例
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者向けの推奨事項として、次のような内容が示されています。
- 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上に相当)
- 筋力・バランス・柔軟性など、複数の体力要素を高める**「多要素な運動」を週3日以上**
- 筋力トレーニングを週2〜3日(多要素な運動に含めても可)
- 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する
この「多要素な運動」の例として、体操やダンス、ヨガなどと並んでラジオ体操が明記されています。伸ばす・ねじる・曲げる・跳ぶといった多様な動きがひとまとまりになっている点が、この分類に当てはまるということでしょう。
同ガイドでは、成人(20〜64歳)については1日60分以上(約8,000歩以上)が目安として示されています。50代の方は、こちらを参考にするとよいでしょう。
「足りない日」があっても大丈夫
同ガイドには、推奨量に届かない場合でも少しでも身体活動を行うことを推奨するという趣旨の記載があります。ゼロか100かではなく、今日は3分だけ、という日があってもいいということです。
また、「今よりも10分多く体を動かす」という考え方(プラス・テン)も示されています。ラジオ体操第一と第二を通しでやれば、それだけで数分。散歩に少し足せば、10分はすぐに届きます。
大人がやってみると、気づくことがある
久しぶりにやってみると、子どものころのようには動かない自分に気づくかもしれません。腕が上がりきらない、体側が伸びない、跳ぶ動作でバランスが揺れる。これは「衰えの証拠」と落ち込むところではなく、普段どこを動かしていないかを教えてくれるサインと受け取るのがよいと思います。
ただし、ガイドでも、身体機能が低下している方については安全に配慮し、転倒等に注意するようにと書かれています。次の点は覚えておいてください。
- 跳ぶ動作は無理をしない:かかとの上げ下げや足踏みに置き換えても構いません
- 反動をつけすぎない:勢いで曲げるより、じわりと伸ばすほうが体にやさしい
- 痛みが出たらそこで止める:翌日に響く動きは、その日の自分には強すぎます
- 不安があるときは椅子に座って:みんなの体操には座位でできる形もあります
通院中の方や、腰・膝・肩に持病のある方は、始める前に主治医や理学療法士に相談してから取り入れると安心です。
今日から続けるための小さな工夫
意志の力で続けようとすると、たいてい三日で終わります。仕掛けで解決しましょう。
- 時間ではなく行動にひもづける:「朝8時に」より「歯を磨いたら」のほうが忘れにくい
- 音楽をすぐ出せるようにしておく:動画サイトや公式アプリをホーム画面に置いておく
- 窓を開けてからやる:外の空気が入るだけで、気分の切り替えになります
- 家族や友人と時間を合わせる:ひとりでやるより気が楽になることがあります
- カレンダーに丸をつける:続いている実感は、それだけで力になります
- できない日は「深呼吸だけ」に格下げする:ゼロにしないことが、再開のコツです
朝でなければいけない決まりはありません。夕方、家事がひと段落したタイミングでも構いません。自分の生活のどこに置くと無理がないか、一週間ほど試してみるという方法もあります。
まとめ
- ラジオ体操第一は13の運動からなり、3分ほどで一巡する全身運動です
- 国のガイドでは、ラジオ体操は「多要素な運動」の一例として挙げられています
- 高齢者は多要素な運動を週3日以上、筋力トレーニングを週2〜3日が目安
- 推奨量に届かない日があっても、少しでも体を動かすことに意味があります
- 跳ぶ動作や反動は無理をせず、痛みが出たら止める
懐かしい音楽を流すだけで始められる。それがラジオ体操のいちばんの強みかもしれません。明日の朝、3分だけ試してみませんか。
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参考にした情報
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(高齢者版推奨シート/健康日本21アクション支援システム) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-004.html
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」本文 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001171393.pdf
- かんぽ生命保険「【図解】ラジオ体操第一・立位の順番とコツを解説」 https://www.jp-life.japanpost.jp/radio/instruction/radio_first.html
- かんぽ生命保険「ラジオ体操の動き」 https://www.jp-life.japanpost.jp/radio/faq/abt_csr_rdo_faq_cat02.html